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2024/05/10

賃貸借契約とは?契約の種類や流れ、必要書類は?基礎知識をわかりやすくまとめて解説!

賃貸借契約とは?

賃貸借契約は、不動産(アパート、マンション、一軒家など)を借りる際に締結する契約です。この契約によって、貸主(大家さんや不動産会社)は物件を使用して利益を得る権利を借主(入居者)に提供し、借主はその使用権利の対価として賃料を支払うことになります。また、契約期間が終了した際には、借主は物件を原状に回復して返却する義務があります。

2つの契約タイプがある?「普通賃貸借契約」と「定期賃貸借契約」とは?

不動産の賃貸借契約には「普通賃貸借契約」と「定期賃貸借契約」という二つの主要なタイプがあります。普通賃貸借契約と定期賃貸借契約の主要な特徴、メリット、注意点を表形式でまとめました。

賃貸借契約の種類特徴メリット注意点
普通賃貸借契約契約期間通常2年、更新可能貸主:安定した収入源となる可能性
借主:長期的な住居の安定性
貸主:自己都合での解約困難
借主:更新料の発生、賃料の変動の可能性
定期賃貸借契約契約期間終了で自動終了、更新には双方の合意必要貸主:計画的な資産管理が可能
借主:相場より低い賃料での利用、更新料が発生しない
貸主:再貸出の計画が必要、相場より低い賃料設定
借主:契約期間後の再契約の依存

賃貸借契約書とは?

賃貸借契約書は、その契約の内容を文書化したもので、契約の効力を持つ最も重要な書類です。この契約書には、以下のような内容が記載されています。自分が借りようとしている建物と合っているかチェックしましょう。国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」に基づく賃貸借契約書の主な内容を表にまとめると以下のようになります。

項目内容
物件の名称・所在地物件の正式名称と住所。
物件の構造など建物のタイプ(アパート、マンション等)、構造、階数などの詳細。
付属品と残留物物件に付属する設備(例:エアコン、冷蔵庫など)と前の入居者から残されたものの詳細。
契約期間と更新契約の有効期間と、その後の契約更新に関する条件(更新手数料や自動更新の有無など)。
賃料と共益費毎月の賃料、管理費、共益費の合計額。毎月の支払い負担を把握する。
契約解除や明け渡しの条件契約を解除する条件、解約通知の期間、退去時の物件状態の基準など。退去時の手続きと責任。

署名と捺印の重要性

契約書に署名と捺印をすることで、記載された内容に同意し、その条項に法的に拘束されることを意味します。したがって、契約書に署名する前には、内容をしっかりと確認し、不明点や疑問があれば、事前に解決しておくことが非常に重要です。

参考資料:国土交通省が提供する「賃貸住宅標準契約書」

賃貸借契約書の印紙は誰が払う?

建物の賃貸借契約書は印紙税は必要ありません。印紙税は日本の課税文書に適用される税金です。印紙税法第3条によると、この税金の納税義務者は「課税文書の作成者」とされています。これは、契約書や領収書など、税が課される文書を作成した人が税金を支払う責任があるということを意味します。

<収入印紙が必要なケース>

  1. 土地の賃貸借契約書:
    • 土地を賃貸する場合の契約書は、印紙税法上の課税文書に該当します。
  2. 保証金や建設協力金が関与する契約書:
    • 契約に保証金や建設協力金の取り決めが含まれる場合、これも課税文書に該当します。

<収入印紙が不要なケース>

  1. 建物の賃貸借契約書:
    • 一般的な建物(住宅やオフィスなど)の賃貸借契約書は、印紙税の対象外です。
  2. 駐車場の賃貸借契約書:
    • 駐車場を賃貸する契約書も、印紙税の課税対象外となります。
  3. 電子契約の場合:
    • 電子契約で締結される賃貸借契約書は、物理的な文書ではないため、収入印紙の貼付は不要です。

このように、賃貸借契約書において収入印紙が必要か否かは、契約の対象物や契約の形式によって異なります。

重要事項説明と賃貸契約書の違いとは?

重要事項説明と賃貸契約書の違いをわかりやすく説明します。

重要事項説明は、不動産会社の宅地建物取引主任者が行う説明会です。ここでは、契約の条件や物件の詳細など、「こんな部屋で、こんな条件で契約しますよ。いいですか?」という内容が確認されます。この段階ではまだ契約は結ばれていませんが、賃貸契約を結ぶ前に物件や契約条件について最終的な確認を行う重要なプロセスです。

一方、賃貸契約書は、重要事項説明を受けた後、実際に大家と入居者が契約内容に同意し、署名・捺印をして法的な効力を持たせる文書です。重要事項説明で提供された情報と契約書の内容は似ていますが、契約書はその合意を正式に文書化したものです。

理想的には、重要事項説明で提供された内容をじっくり理解し納得してから賃貸契約書に署名することが望ましいですが、実際にはこれらが同日に行われることが多く、その場で判断しなければならないことが多いです。事前に重要事項説明の書類をもらって確認することをお勧めします。

賃貸借契約の流れ

ステップ
ステップの内容主なアクション
1希望条件の整理エリア、間取り、予算、入居希望日などを決定し、物件検索を行う。
2不動産会社に連絡希望エリアや物件を取り扱う不動産会社を選び、物件紹介を依頼する。
3物件見学物件の現地確認を行い、条件に合うか詳しくチェックする。
4入居申し込み借りたい物件が決まったら、不動産会社に入居申込書を提出する。
5入居審査不動産会社が入居者の信用や条件を審査する。
6重要事項の説明宅地建物取引士から物件の詳細や契約条件の説明を受け、内容を理解する。
7賃貸借契約の締結契約内容に同意したら、賃貸借契約書に署名・捺印して正式に契約を結ぶ。

賃貸借契約に必要な主な書類

書類の種類説明
住民票基本的に3ヶ月以内のものが必要。家族全員のものが必要な場合もある。
印鑑証明書住民登録している自治体で印鑑登録をしておく必要がある。
勤務先証明書・内定通知書新社会人や転職したばかりの人向け。勤務状況を証明するために必要。
学生証の写し学生が契約する場合に必要。
収入証明書会社員は所得証明書や源泉徴収票、自営業者は確定申告書が必要。
連帯保証人関連書類連帯保証人の引受承諾書、住民票、印鑑証明書、収入証明書が必要。連帯保証人の承諾と捺印が必要。
銀行印、通帳家賃の支払いを金融機関引き落としにする場合に必要。
会社の登記簿(法人契約の場合)法人契約の場合に必要。自営業者は収支報告書などが必要になる。
火災保険(家財保険)加入の申込書原状回復義務違反の際の保険。通常、借家人賠償責任補償が含まれる。

賃貸借契約書でチェックすべき主要な7つのポイント!

賃貸借契約書でチェックすべき主要な7つのポイントは?

国土交通省が提供する「賃貸住宅標準契約書(改訂版)」に基づいて、賃貸借契約書でチェックすべき主要な7つのポイントを表形式で整理したものです。

ポイント番号チェック項目内容説明
1物件の詳細確認物件の名称、所在地、建物の構造、間取り、部屋番号、築年数を確認し、契約予定の物件情報と一致するか。
2附属品と残置物の確認備え付け設備(附属品)と前の入居者から残された物(残置物)の区別を理解し、状態と必要性をチェック。
3契約期間と諸費用の確認契約期間、敷金、礼金、家賃、家賃の支払い方法など、費用に関する詳細を把握し、契約の柔軟性について理解する。
4大家さんと管理業者の連絡先連絡先を控え、トラブル発生時や契約に関する相談ができるようにしておく。
5解約時の流れと通告期間の確認解約条項、通告期間、違約金などを確認し、解約時の流れを明確にする。
6修繕の負担と対応確認入居中の修繕が発生した場合、どのような修繕が必要か、誰が費用を負担するかを確認する。
7原状回復義務と敷金の精算解約時の原状回復義務と敷金の扱いを確認し、特約がある場合はその内容と解約時の負担を理解する。

よくあるトラブルと原状回復のガイドラインについて

敷金トラブルの防止

敷金の返還に関するトラブルを避けるためには、特に「特約」部分を注意深く確認する必要があります。敷金は、退去時の原状回復を目的として預けられるお金ですが、入居者が普通に生活して生じた汚れや損耗は大家さんが負担するのが一般的です。しかし、契約書に「退去時のハウスクリーニング代を敷金から差し引く」といった内容が記載されている場合、それが適切かどうかを確認し、不明点は不動産会社に質問することが大切です。

原状回復のガイドラインについて

原状回復の義務とは、入居者が過失や不注意で生じた損傷を修理する責任のことです。国土交通省のガイドラインでは、これがどの程度のものか、具体的に「貸し手(大家さん)の負担」と「借り手(入居者)の負担」の境界線を示しています。これにより、トラブルを未然に防ぐための明確な基準が設けられています。

原状回復の対象となる事例をまとめた表を以下に示します。大家さんと入居者のどちらが負担するべきかを明確に示しています。

項目責任者説明
お風呂
給湯器交換大家負担古くなったがまだ機能する給湯器を、次の入居者のために交換するケース。
空焚きによる故障入居者負担入居者が空焚きをして給湯器を壊した場合、入居者が修理または交換の費用を負担。
風呂、トイレ、洗面台の汚れ入居者負担清掃や手入れを怠ったことによる水垢、カビ等の除去は、入居者が責任を負う。
キッチン
黒ずみ清掃大家負担冷蔵庫の後部壁面の黒ずみなど、使用による自然な劣化は大家の責任で清掃または交換。
油汚れ入居者負担通常の使用を超える台所の油汚れ(掃除が行き届かない場合)は、入居者が清掃または修理の費用を負担。
家具によるへこみ大家負担家具の設置による床やカーペットのへこみ、設置跡は通常使用の範囲内とされ、大家が負担。
シミ・カビ入居者負担飲み物をこぼすなどして発生したシミやカビ(手入れ不足が原因)は入居者が清掃または修理の費用を負担。
クロスの変色大家負担日照などの自然現象によるクロスの変色は大家が負担。
画鋲やピンの穴大家負担下地ボードの張り替えが不要な程度の小さな穴は大家負担。
クーラーからの水漏れ入居者負担借主が設置したクーラーからの水漏れが放置された結果、壁が腐食した場合、修理費用を借主が負担。
結露によるカビ入居者負担結露を放置してカビが拡大した場合は、通常の使用を超えるとされ入居者負担。
大きな穴入居者負担クギ穴やネジ穴で下地ボードの張り替えが必要な場合は入居者負担。
その他
ペットによる損傷入居者負担ペットによる柱のキズや臭いは、日常的な損傷を超えるため、借主の責任で修理または清掃が必要。
設備の毀損入居者負担不適切な手入れや用法違反により生じた設備の毀損(例:ガスコンロ、換気扇)は、入居者が修理または交換の費用を負担する。
鍵の取り替え入居者負担破損、不適切使用、紛失による鍵の取り替えは、入居者が負担する。

この表を通じて、原状回復の際に何が大家の責任で何が入居者の責任かを明確にすることができます。賃貸契約時や退去時のトラブルを避けるためにも一度目を通しておくとよいかもしれません。

賃貸借契約のキャンセルは可能か?

賃貸借契約のキャンセルについて、契約が成立する前後で対応が異なります。

契約成立前のキャンセル

賃貸借契約は口頭での合意だけでも法的に成立しますが、不動産取引の重要性を考慮し、通常は詳細な契約書が作成されます。契約書に署名・捺印する前であれば、キャンセルが可能です。もし契約を見直したい場合やキャンセルしたい理由が生じた場合は、すぐに大家や不動産会社にその旨を伝えることが重要です。

契約成立後のキャンセル

契約書に署名・捺印した後は、法的に契約が成立しているため、キャンセルすることはできません。この段階で契約を終了させたい場合は「契約の解除」となり、これには違約金が発生することが一般的です。また、宅建業法により、クーリングオフ制度は適用されませんので、一度成立した契約を解除するには一定の費用が発生することを覚悟しなければなりません。

賃貸契約は大きな責任と義務を伴うため、契約に署名する前には内容をよく確認し、キャンセル可能な期間と条件を把握しておくことが大切です。契約後の解除はコストが伴うため、慎重に進めることをお勧めします。

賃貸を契約する前に中古マンションの購入も考えてみよう!

お部屋を借りるためには上記にも書きましたが引っ越す度に敷金、礼金、更新料、引越し費用等の経費と労力が必要となります。
一度、賃貸だけではなく中古マンション購入の検討も視野にいれてみても良いかもしれません。

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具体的な持ち家と賃貸、生涯コストの差を検証してみよう!


持ち家のメリットは?

  • 長期的に資産としての価値が残る
  • リフォームや間取り変更の自由度が高い
  • 老後の住居費が軽減される
  • 家族や個人の好みに合わせた住まいを自由に選べる
  • 固定住所が変わることなく、長期的なコミュニティに根付ける
  • 資産価値の増加が期待できる場合もある
  • 自己資産としての安心感や満足感を得られる

<賃貸と持ち家(マンション)のコスト比較を表にまとめてみました>

持ち家と賃貸、どちらも入居から50年として、生涯的にかかる費用を比較してみましょう。今回は、都内の1LDKの3500万円のお部屋を50年間借りた場合と持った場合のシュミレーションしてみました。

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項目賃貸持ち家(月ローン8万円+管理費1.5万円)35年ローン
初期費用50万円120万円
ランニングコスト(月々)家賃10万円(10万円✖️12ヶ月✖️50年で6000万円)住宅ローン8万円・管理費と修繕積立金1.5万円(9.5万円✖️12ヶ月✖️35年で3990万円)
ランニングコスト(更新時)火災保険48万円(2年に1回2万円)、更新料240万(2年に1回10万円※家賃1ヶ月分)火災保険・地震保険75万円(10年に1回15万円)
固定資産税400万円
家の修繕費500万円
大規模修繕費200万円
合計
6338万円
5285万円

総合的な生涯コストの差は毎月の支払い家賃で大きく差が出ることになります。上記の場合だと、50年目を見てみると賃貸と持ち家では約1000万円の差が出る結果になりました。さらに言うと、賃貸に50年も住む可能性は低いので、その度にかかる引越し代や初期費用はかさみます。また、さらに持ち家は、資産として残ること、住宅ローン控除があることによって持ち家が得するという判断をする方も多いようです。

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