「THE都心!」での、子育ては可能なのか?~第3弾~中央区の子育て事情に迫った!2025年版

“都心中の都心で、制度はどこまで実務を支えるのか?”
東京都23区の中でも、最も“中心”に近い区のひとつである中央区。銀座・日本橋・月島・晴海といった顔ぶれを持つ一方、生活・子育てという視点からはどう映るのか。本稿では、特に 子育て支援制度の充実度 を軸に、保育支援・制度・生活インフラ・課題を整理し、共働き・子育て世帯にとって中央区はどのような選択肢になりうるかを徹底検証します。
目次
1. 中央区という街の印象と再評価
中央区は、面積が 約10.115km²。統計などでは四捨五入で「10.21km²」とする表記も見られます。
人口は、2025年4月1日現在:188,694人(住民基本台帳ベース)。区の将来人口推計資料などでもこの推計値が用いられています。
区内には銀座・日本橋といった商業地、月島・勝どき・晴海のタワーマンション群、佃・築地など伝統的住宅地も混在しています。駅密度・交通利便性の高さは都心立地において屈指です。
こうした都市性の高さゆえ、「子育て環境」という視点での懸念も根強く、制度・支援の厚みが問われる区でもあります。
2. 中央区の主な子育て支援制度(2025年時点)
以下は、中央区が公式に公表している制度・支援メニューを中心に、“親目線で使えるポイント付き”で整理したものです。
制度 | 概要 / ポイント |
---|---|
子ども医療費助成 | 18歳到達年度末まで(中学卒業まで) を対象に、保険診療の自己負担分を助成。入院時の食事療養費自己負担も含まれる。所得制限の記述なし。 中央区役所+1 |
幼児教育・保育の無償化(給付制度) | 認められた幼稚園・保育所・認定こども園等を利用する場合、国制度により施設に支払われる方式(利用者への給付ではなく施設支払い)で、教育・保育費用の一部が公費給付される。認可外施設は対象外。 中央区役所 |
出産・子育て応援事業 | 令和5年4月1日 ~ 令和7年3月31日までの出産・子育て世帯を対象に、「伴奏型相談支援」と「費用負担軽減」の制度を設けている。名称は「出産・子育て応援ギフト」など。 中央区役所 |
保育園・入園調整制度 | 毎年「利用調整結果」を公開しており、園・年齢別の最低指数や内定率が把握できる。 中央区役所 |
一時預かり・トワイライト・緊急保育 | 区認可園・区指定施設・連携施設で「一時預かり」「トワイライト(夕方~夜間)保育」「ショートステイ」などの仕組みを設けている。例:子育て支援施設「ニコニコ」がトワイライト・緊急保育を実施。 hoiku.shopro.co.jp |
ファミリー・サポート・センター | 保育が必要な世帯と協力会員とのマッチング支援。利用にあたっては「保育の必要性の認定」が必要。 shakyo-chuo-city.jp |
3. 保育・入園実態 ~ 2025年4月利用調整結果から見る実像
中央区の2025年4月 (第1回) 利用調整結果が公式に出ています。申込数・内定数・内定率・最低指数などが明記されており、非常に参考になる資料です。 中央区役所
年齢/クラス | 申込児童数 | 内定者数 | 内定率 | 最低指数 / 備考 |
---|---|---|---|---|
0歳(57日) | 16人 | 14人 | 87.6% | 38点以下 |
0歳(7か月) | 65人 | 53人 | 81.9% | 38点以下 |
1歳児 | 152人 | 123人 | 81.3% | 38点以下 |
2歳児 | 202人 | 100人 | 49.5% | 38点以下 |
3歳児 | 149人 | 93人 | 62.4% | 38点以下 |
4歳児 | 53人 | 24人 | 45.3% | 38点以下 |
5歳児 | 33人 | 12人 | 36.4% | 38点以下 |
合計 | 1,688 人 | 1,254 人 | 74.3% | — |
このデータから見えてくること:
- 0歳・1歳あたりは比較的内定率が高いが、年齢が上がるほど内定率が下がる傾向
- 最低指数ラインはすべて“38点以下”という記録(ただし、実際には園・年齢層で異なる)
- 「希望園に入れない」可能性は年齢・園選択次第で十分にあり得る
4. 教育・医療・生活インフラ
- 教育:公立小中学校の基盤に加え、私立・インターナショナル・特色校を選択肢としやすい立地
- 医療:都心立地ゆえ、多くの総合病院・専門病院に近接。小児科・夜間診療所も比較的アクセス良好
- 交通・買い物:駅・地下鉄網が密、徒歩圏内にスーパー・薬局・商業施設が充実
- 公園・緑地:区内の公園やウォーターフロント空間、川沿い遊歩道などが点在し、親子で過ごす空間も確保しやすい
5. 治安傾向
中央区は業務・商業施設が多いため、昼夜で街の印象が変わる地域性を持っています。銀座・日本橋など繁華街付近は夜間の人流が多くなる一方、住宅地エリアや裏通りでは比較的落ち着きがあります。
住宅を選ぶ際は、通りの幅・街灯・交番の距離・裏通り回避などを実際に歩いてチェックするのが現実的です。
6. 公園・親子向けスポット
- 築地川公園・浜離宮恩賜庭園など、水と緑を感じられる場所
- 子育て支援施設「ニコニコ」:一時預かり・緊急保育・トワイライト保育を実施。利用時間・料金・利用条件は事前確認を。 hoiku.shopro.co.jp
- 地域コミュニティ施設・子育て拠点(区が設ける広場や交流スペース)も複数あり、雨天時の子ども遊び場や親ネットワークとの接点になります。
7. 人口・将来性・再開発動向
中央区は、都心開発・オフィス再編・マンション再開発などの影響を強く受ける区です。転入・転居動向が活発で、子育て世帯が増える可能性も見込まれます。こうした変化が、保育需要・教育環境・住居価格に波及する点は意識すべきです。

「中央区の人口増加率表」
出典元
- 区の過去の人口については、総務省統計局の人口データ
- 将来の人口については、総務省統計局の将来人口予測データで分析しています。
- 東京都総務局統計部 「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」(令和2年1月)
- 東京都総務省統計局 地区面積
中央区は、今後も何十年という長きにわたって、人口増加が見込めます。
「人口が増えると、地価も上昇する」という人口と地価の相関関係は、国勢調査でも裏付けられているようで、不動産投資家にとっても、お住まいになる方にとっても、中央区はオススメの区と言えそうです。

(出典:https://www.smtb.jp/others/report/economy/75_2.pdf)
8. 中央区で子育てをする際のチェックポイント
- 指数(点数)設計を前年度から準備
就労形態・兄弟在園・認可外利用歴など、加点要件を整理しておく - 志望園のポートフォリオ化
特色重視+通勤導線重視など複数園を併願可能に - 延長・夜間枠の実情チェック
終了時刻・料金・保育体制を実地見学で確認 - 夜間の通り安全チェック
帰宅ルート・通う道は夜に実際歩いてみる - 支援制度は早めに活用申請
医療費助成、無償化、子育て応援給付金など、後出しでは損をすることも
9. 結論:中央区は“子育てしやすい街”か?
中央区は、都心というプレミア性を保ちつつ、無償化・医療費助成・子育て応援制度など制度設計も地に足をつけて整備されている区と言えます。
ただし、「制度があるから安心」ではなく、各制度の対象条件・申請時期・園選びの攻略が不可欠です。
都心で“子育てを諦めない”ためには、制度理解 × 実地確認 ×立地最適化の三点セットが、中央区で快適に子育てするカギになるでしょう。
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