「THE都心!」での、子育ては可能なのか?~第2弾~渋谷区の子育て事情に迫った!2025年版
“動と静が交わる都心で、子育ても選べる暮らしへ”
若者文化・IT・エンタメの中心という顔を持つ一方、松濤・広尾・代々木上原・恵比寿西など、落ち着いた住宅地もしっかり息づく渋谷区。「都心で子育ては現実的か?」という問いに対し、本稿では子育て支援制度の充実度を軸に、保育・医療・生活インフラ・治安の肌感まで、共働き世帯の実務目線で徹底検証します。
目次
1. 渋谷区という街の印象と再評価
渋谷区の面積は約15.11km²。東京都統計や区公式情報でも同値が掲載されています。
**人口は約24.4万人(2025年推計)**と、23区の中ではやや小規模。
「若者の街=子育てに不向き」というイメージを持たれがちですが、実際には駅近に生活機能が凝縮し、住宅地の奥では静けさと安全性も両立できる――そんな“動と静の同居”が渋谷の素顔です。
再開発も継続中。渋谷駅周辺に加え、桜丘・神南・宇田川町などでの更新が進み、住まい・保育・商業・オフィスがミックスしたコンパクトシティとしての機能性はさらに高まる見込み。駅網と幹線バスの密度は、送迎×通勤の“複線化”を可能にします。
2. 渋谷区の主な子育て支援制度(2025年時点)
2-1. 医療・費用負担を軽くする支援
- 子ども医療費助成制度
**0歳〜高校生相当(18歳に達する日以後の最初の3月31日まで)**が対象。保険診療の自己負担を助成し、入院時の食事療養費も助成対象です。
→「高校生まで医療費助成」は、都内でも数少ない手厚い制度です。 - 幼児教育・保育の無償化
国の制度をもとに、渋谷区では3〜5歳児クラスを中心に保育料が無料(実費別)。
また、認可外保育や認定こども園利用時も一部助成が可能です。 - 保育料・延長保育料の扱い
区立保育園の延長保育料は階層ごとに設定され、私立園は園ごとに料金が異なります。
延長時間や保育内容も園によって差があるため、現地確認が必須です。
2-2. 保育の選択肢とバックアップ
- 待機児童対策の到達点
渋谷区は2021年度に待機児童ゼロを達成。以降もゼロを維持し、施設の適正運用と多様な受け皿を確保しています。 - 一時預かり・トワイライト・ショートステイ制度
就労・出張・病気などに対応し、短時間から宿泊までの柔軟な保育サービスを提供。
特にショートステイは18歳未満の子どもを対象とし、区委託施設で対応しています。 - 地域移動=ハチ公バス
区内4ルートで運行。大人・子ども均一100円。
ベビーカーや子ども連れ移動の「最後の1マイル」を補完する人気サービスです。
ポイント
渋谷区は「医療費18歳まで無償」「保育無償化」「一時・夜間保育の多層支援」により、費用面・時間面の両軸でサポートしています。
3. 保育園・入園の実態(2025年版)
3-1. 利用調整(一次)の“数字でみる肌感”
渋谷区の「令和7年度4月入園(一次)」申込状況では、年齢別・園別に倍率と最低指数が公開されています。
0歳〜1歳児は比較的入りやすく、2歳児以降は倍率が高い傾向が見られます。
人気園では指数40点台前半での決定事例もあります。
読み方のコツ
- 最低指数=その年度の“実質ライン”。
- 兄弟在園や認可外利用歴などの加点で差が出る。
- 同点時は「兄弟同園」などの優先順位で決定。
3-2. 「待機児童ゼロ」でも、希望園に必ず入れるとは限らない
渋谷区は「ゼロ」を維持しつつも、希望園の集中が課題。
特に通勤経路沿いの園は倍率が高くなりやすいため、第1希望+通勤動線上の園を併願して“現実解”を広げておくのが現実的です。
4. 教育・医療・生活インフラの“密度”
- 教育:公立校に加え、私立・インターナショナル校も多く、教育選択肢の豊富さは23区でも上位。ICT教育も早期から導入。
- 医療:渋谷医療センター・広尾病院など小児科対応の総合病院が多く、休日診療体制も整っています。
- 生活・交通:JR・私鉄・地下鉄の複数路線が通り、**ハチ公バス(100円)**も利用可。買い物・金融・公園が徒歩圏に集中。
- 公園・文化施設:代々木公園・広尾公園・NHKスタジオパークなど、子どもが文化と自然に触れられる場所が豊富です。
5. 治安:夜の顔と住宅地の切り分け
渋谷駅・恵比寿駅周辺は夜間の人流が多く、軽犯罪リスクが若干高め。
一方で、松濤・広尾・西原・代々木上原などは治安良好な住宅エリアとして知られます。
住宅を選ぶ際は「街灯・交番距離・夜間人通り」を現地で確認するのがベストです。
6. 公園・親子レジャー環境(雨の日もOKの“逃げ場”)
- 代々木公園:都心最大級の緑地で週末のイベント多数。
- 広尾公園・氷川の杜文化館:幼児〜小学生向けの屋外・室内活動。
- 子育てひろば・児童館:雨天時も安心の無料遊び場。
- トワイライト・ショートステイ:就労延長時などに利用できるバックアップ保育。
7. 人口・将来性と再開発の波及
東京都統計によると、渋谷区は面積15.11km²/人口約24.4万人。
再開発が続く渋谷駅・桜丘・宇田川町などを中心に、職住近接型の住環境が進化中です。
ただし、住宅価格や家賃は高止まり傾向のため、「資産性」と「住みやすさ」のバランスを見極める必要があります。
渋谷区の人口の、過去と未来予測のデータ
さらに、新宿区と同様、資産形成の観点からも、渋谷区はオススメと言えそうです。下記は、渋谷区の人口の、過去と未来予測のデータです。

上記図:「渋谷区の人口増加率表」
出典元
- 区の過去の人口については、総務省統計局の人口データ
- 将来の人口については、総務省統計局の将来人口予測データで分析しています。
- 東京都総務局統計部 「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」(令和2年1月)
- 東京都総務省統計局 地区面積
渋谷区は、今後も何十年という長きにわたって、人口増加が見込めます。「人口が増えると、地価も上昇する」という人口と地価の相関関係は、国勢調査でも裏付けられているようで、不動産投資家にとっても、お住まいになる方にとっても、渋谷区はオススメの区と言えそうです。

(出典:https://www.smtb.jp/others/report/economy/75_2.pdf)
8. 渋谷区で子育てをする際のチェックリスト
- 指数を“設計”する:加点要件(兄弟在園・認可外利用歴など)を事前に確認。
- 送迎動線を重視:駅→園→職場を一直線でつなぐ立地を優先。
- 延長・休日保育の比較:終了時刻・料金・人員体制を園見学で確認。
- 一時・夜間保育の登録は早めに:登録面談が必要な場合もあるため要準備。
- 夜の通りを確認:帰宅時間帯に“実際の安全度”をチェック。
- 制度は“使い切る”:医療費助成・無償化・一時預かりなどは漏れなく申請。
9. 渋谷区は“子育てしやすい街”か?
結論:渋谷区は、「費用(医療・保育)×時間(夜間・一時)」の両輪で都心屈指のサポート力を持つエリア。
- 強み:18歳までの医療費助成/保育無償化/待機児童ゼロの継続/交通・買い物の利便性。
- 課題:家賃・地価の高さ/人気園集中による倍率差/夜間エリアの治安。
“働く親にとっての現実的な選択肢”として、渋谷区は極めて有力。
制度と立地の両面を設計的に活用すれば、「都心でも安心して子育てできる街」を実現できます。
参考出典
- 東京都統計「区市町村別統計表(2025年版)」
- 渋谷区公式サイト「子ども医療費助成制度」「幼児教育・保育無償化」「保育園利用案内」
- 渋谷区「第3期子ども・子育て支援事業計画」
- 渋谷区「令和7年度 保育園利用調整結果」
- 渋谷区「ハチ公バス」「ショートステイ制度」
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